アスペルガー症候群は俺の嫁

自閉症体験シリーズ　その２６　【わからないことが当たり前の世界から】

私が自閉症と診断されたのは、２０代後半になってからです。それまでの自閉症像は『知的障害を伴うもの』と言うものでしたが、アスペルガー症候群・高機能自閉症と言う『知的障害を伴わない』ものが知れ始める頃でした。

※ 今は「自閉症スペクトラム」で統一されています。

診断された当初は、それまでの生き辛さ、困り感はそこから来ているのか、と言う安心感がありました。私が悪いんじゃない。自閉症の特性なんだ、と。しかし安心したのは束の間でした。当時はアスペルガーについての書籍が多く出始めた頃ですが、自己肯定感を維持するには良かったのですが、具体的に「じゃあ、どうすればいいのか？」と言う部分まではどれだけ本や資料を読んでもわかりませんでした。

自閉症について学んでいくうちに、「どうやら視覚的支援というものがあるらしい」「見た方がいいらしい」ということがわかり、実感として自分でも思いあたることがあったので、少しずつ、ほんの少しずつですが自分の中で工夫をしていきました。

カウンセリングも受けていたのですが（二次障害があったため）、カウンセリングでの会話も私にとっては難しかったのです。そこで、ＰＣを使ってチャットのような形でのカウンセリングを行うことになりました。

すると、今まで言葉にできなかったこと、表現できなかった自分の思いが、自然と出てくることに気付きました。『見える形にする』＝『視覚支援』でこんなにも変るのか！会話は消えてしまいます。でも見える形にすることで、私にもコミュニケーションをとる方法があったんだ！と気付きました。

書くだけ。たったそれだけのことなのに、世界が大きく変りました。

今では、私はこうして文章を書いて表現することができます。『わからないことだらけが当たり前だった世界』から、私にも『わかる世界がある』と言うことを、気付かせてくれた瞬間です。

『わからないことが当たり前』な状態から、『わかることがある世界』へのきっかけは、私の世界を大きく変えました。

私の『わからないことが当たり前だった世界』を文章で表現していますが、「書く」と言うたった一つの足がかりから広がっていった世界を、共有していただければと思います。

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